Miyamoto Lab/

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Columnコラム

01 星を望み,地を歩む
 卒業生を送り出し,新入生を迎える春は,大学にとって節目の季節である。入試や就職活動を乗り越えた若者たちは,これから始まる新生活に,希望を膨らませていることであろう。
 新入生として,また社会人として,新たな世界の扉を開く若者に,「星を望み,地を歩む」という言葉をおくりたい。
 「星」とは「理想」,また「地」とは「現実」のことである。理想を目指して歩み続ければ,いつかこの手でそれ掴むことが出来る・・・という意味であると,私は解釈している。出典は不明で,いつの間にか私の頭に入ってきた言葉である。
 過去を振り返ると,私の人生の分岐点は,博士課程への進学を決意した時であったと思う。進学への不安・迷いから随分と悩んだが,”やりきったと思えるまでやらないと気が済まない性格”が,私の背中を押したのである。
 それから歳月が流れ,私も次の時代を担う若者を育てる立場になった。今だからこそ,あえて自分自身に問い直したい。今も「星」を見失ってはいないか?・・・と。
 先が見えず理想とかけ離れた現実に,悩む若者も少なくないであろう。私もまた,これまでに何度も星を見失いかけた。
 しかし,星の光が弱まり,遠ざかり,霞がかかったりして見失ったり,星の存在すら忘れてしまったりすることもあるが,心に灯をともせば,またすぐに暗い夜空に輝き,いつでも星を呼び戻すことが出来ると,私は信じている。
 だから,たとえ新天地が思い描いたようなものでなくとも,星を望み,地を歩むことを決してやめてはいけない。

The mind is not a vessel to be filled but a fire to be kindled.
(知性とは,満たすべき器ではなく,燃やすべき炎である)

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