Miyamoto Lab/

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Columnコラム

07 消えない記憶
 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件から,20年が過ぎた。

 その事件の翌週,私は米国留学のために,
 厳戒体制のLos Angelesに降り立った。
 武装した州兵しかいない,あの物々しい空気と息苦しさは,
 今も記憶に新しい。

 犠牲者の遺族や救助にあたった消防士は,
 家族や同僚を失った悲しみを克服しつつも,
 地獄のような惨劇の記憶から,今も逃れられずにいる。

 ニューヨークに住む人々は,空を見上げるたびに
 事件がもたらした空白の時を,鮮明に思い起こす。

 アメリカはあの日を境に,テロという「見えない敵」との戦争に突入した。  マンハッタンを覆った黒煙は晴れたが,
 戦雲は今も中東やアフガニスタンに暗く垂れ込めている。

 この20年,人々は衝撃的なテロの傷跡を癒しながら,
 事件の意味を探ろうとしてきた。
 それは明確なようでいて,瓦礫の山に埋もれた
 遺留品のように,見えづらい。

 9・11は,アメリカに何をもたらし,世界をどう変えたのか?
 その答えを探す旅は,これからも続く。

The mind is not a vessel to be filled but a fire to be kindled.
知性とは,満たすべき器ではなく,燃やすべき炎である)

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