Miyamoto Lab/

Miyamoto Lab.

Columnコラム

11 挑戦を待つ
 我が国の大学では,教授が「本に書いてあること」を教え,
 学生はそれを聞き,板書内容をただ書き写すことが多い。
 そこに質問もなければ,白熱した討論もない。

 ハーバード白熱教室の「あの光景」は,我が国ではめったに見られない。

 史実を学ぶ「歴史学」であれば,事実を知ることに意義がある。
 土台となる基礎固めのために,事実を学ぶことに
 一定の労力を割くことは必要である。
 だから,「本に書いてあること」を学ぶことを,否定する気は毛頭ない。

 私が学生に問いたいのは,それだけで済ますことの罪だ。

 「本に書いてあること」は,既に明らかになっていることである。
 最先端の研究を志望する学生,特に研究開発でシノギを削るであろう理系学生が,
 それだけで勉強を済ませるのは間違いだ。

 自分で最新の情報ソースへアクセスし,そうして得た情報・知識を
 十分に咀嚼したうえで,内から沸き起こる疑問点を,教員にぶつけて欲しい。

 世界を変えるのは,いつも若者だ。
 若者のパワーと好奇心だ。
 荒削りでよい。多少の無礼も笑って聞き流そう。
 溢れるパワーと好奇心を,講義やゼミの中で教員にぶつけてもらいたい。

 教員は,野心的な学生の挑戦を待っている。

The mind is not a vessel to be filled but a fire to be kindled.
知性とは,満たすべき器ではなく,燃やすべき炎である)

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