教員から皆様へ 
令和6年12月1日付で、生産地盤環境学分野の教授を拝命いたしました宮本です。農業造構学研究室の流れを汲む本分野に、甲本達也名誉教授の後任として2010年に着任して以来、早いもので15年が経ちました。この間、先輩諸氏をはじめ、多くの方々から温かいご支援を賜り、充実した教育・研究活動を展開することができました。この場を借りて、心より御礼申し上げます。
さて、私が担当する生産地盤環境学分野では、「土」を題材として、農業・環境・自然災害などに関する教育研究を推進しています。なかでも力を注いでいるのが、土の“見える化”を実現するセンシング技術開発です。我が国には、特殊な電気的特性を有する土壌が広がっており、既存のセンシング技術が通用しないケースも少なくありません。さらに、センシングを行うには電源や通信インフラが必要ですが、それが整備されていない農地や山林への導入は容易ではありません。こうした課題に対応するために、あらゆる土に通用するセンシング技術や、電源・通信環境の制約を克服するIoTプラットフォームの開発をすすめつつ、ビッグデータを活用した新たな土の研究を展開しています。
その成果物の一例が、佐賀県内3ヶ所で実証中の土砂災害早期検知システム「サガヤマシル(佐賀・山・知る)」です。この技術は、土中で発生する微小な異常をセンサで捉え、可視化することで、地域住民の迅速な避難行動を促し、命を守ることを目的として構築したものです。雨の降り方が昔と変わり、土砂災害の頻度が増している昨今、こうした減災技術の早期社会実装を通じて、農山村地域の安全・安心に貢献したいと考えております。
令和7年度は、大学院生4名・学部生6名とともに、農業および農山村の持続的発展に寄与する教育研究に一層努めてまいります。今後とも、皆さまの変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和7年5月14日
宮本英揮
宮本英揮