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土壌水分センサーの校正や活用法に関する資料

手法 概要
身近なモノで出来る
土壌水分センサーの簡単校正法
スマート農業や栽培試験等に土壌水分センサーを利用する土壌環境計測の初学者向けの簡単校正法です。ホームセンターで調達できる資機材を利用して,各種土壌水分センサーの校正を行うことができますが,手間がかかるうえに要注意点がいくつかるので,それらをよく理解したうえで上手にご活用下さい。
M5Stackを利用したSDI-12センサーの簡単設定・利用法 「レビュー」で取り上げた高性能水分センサーの多くは,SDI-12(Serial Digital Interface at 1200 baud)に対応しており,複数のセンサーを同時に使用する場合には,事前に0~9のアドレスを個別にあたる必要があります。しかし,アドレスを割り振るには,メーカーの治具,データロガー,Arduino等を使用して,煩雑な作業を行う必要があります。プログラミングの知識がない方でも,この作業をスマートフォンで簡単に実施できるソフトを作製したので,興味がある方は,リンク先文献(2021年度 土壌物理学会大会 講演要旨集,p36-37)をご一読のうえ,管理人に御連絡下さい。
M5 Stamp Picoを利用した簡易測定ユニット&アプリ 2021年8月に登場した「M5Stamp Pico」を用いた測定ユニットとアプリです。SDI-12センサやI2C等の複数のセンサを,スマホアプリで簡単に設定でき,且つリアルタイムデータを閲覧できる優れものです。SDI-12センサに対応しているので,安心して試験研究にも利用できます。プログラミングをしたくない,あるいは苦手な方には,激推しのユニットです。
なお,現在,小型化ととも実証試験を行っている最中です。いずれECサイトでお求めいただける見込みですが,「それまで待てない!今すぐに使ってみたい!」という方は,管理人にご連絡下さい(融通できる可能性があります)。
土壌水分センサーを利用したポテンシャル推定法 土壌水分センサーの測定値に基づき,マトリックポテンシャル(またはpF)および浸透ポテンシャルを推定する方法です。乾燥ストレスや塩分す取れるを把握したり,思い通りの数値に制御したい方にとって,有益な技術です。

学術研究への利用事例集

 これまで高額な観測機器を用いて調査・研究を展開してきた学術研究においても,Arduino,Rasberry Pi,M5 Stack IoTボード等を利用した土の測定事例が増えてきたので,それらを以下にまとめました。他にもあれば,管理人に情報をお寄せ下さいますようお願い致します。
伊藤ら(2022) 熱収支ボーエン比法による蒸発散量算定へのArduinoとCMOS温湿度センサーの適用事例です。100万円以上する高価な気象観測システムを利用してきた人から見れば,安価なセンサ・マイコンを利用してここまで出来るのことは驚くでしょう。
 石川ほか(2021) ArduinoとXbeeを利用したTDTセンサネットワークを活用して,高塩分濃度圃場のモニタリングを行った事例です。4地点以上の測定にはまだ成功していませんが,遠隔監視や省電力化のための工夫が随所に認められ,野外で利用する電波法上の制約もないので,野外モニタリングにおいては有力な選択肢の1つであると言えるでしょう。
 平嶋ほか(2021) M5 Atom LiteとTDTセンサ・温湿度センサを組み合わせた,比較的安価な土壌水分センサネットワークの利用事例です。各センサで測定されたデータは,GoogleスプレッドシートやAmbientに出力される仕組みとなっているので,スマホを利用してリアルタイムでデータを無料閲覧することができます。SDI-12に対応している他の土壌水分センサ(TDR-315,WD-5,TEROS-12等)に換装できるので,WifiやBluetoothが利用できる環境下では,非常に便利な仕組みの1つと言えるでしょう。
  宮本ほか(2021) 2018年より,管理人を中心とした有志らが共同開発をしてきた「フィールド用IoTプラットフォーム」の適用事例を紹介したものです。過酷な屋外環境でも長期動作でき,調査研究に利用できる技術水準に到達したと考えています。購入したい方は,スマートロジック株式会社にお問合せ下さい。「クラウド型データロガーシステム」という名称で紹介されています。
藤巻・齊藤(2021) Capacitive Soil Moisture Sensor(V1.2)をArduinoに接続し,個体差出や力値の電気伝導度および温度依存性を調べた事例の研究ノートです。個体差の大きいセンサを事前に排除したうえで,高EC条件に利用を限定したり,ECセンサーを併設して補正したりすれば,上手に利用できる可能性もありますが,そうでない場合には測定結果に対して十分に注意することが必要です。
 伊藤ら(2019)  Sensirionの温湿度センサー(SHT71)をArduinoに接続し,蒸発散量を計測した事例です。センサーの取り扱いに注意すれば,これまで高額な気象観測装置を用いて行ってきた蒸発散量計測を,Arduinoを利用して実施できるのは驚愕で,今後の水文・水資源に関する調査・研究の仕方が変わるかもしれません。
藤巻・齋藤(2019) DFROBOTのCapacitive Soil Moisture Sensor(V1.2)をArduinoに接続し,個体差や力値の電気伝導度および温度依存性を調べた事例です。高EC条件に利用を限定したり,ECセンサーを併設して補正したりすれば,上手に利用できるユーザーもいるでしょう。そうでない場合の取扱いには,注意が必要です。
土井ら(2019) ArduinoとTDTセンサーを組合せて,体積含水率またはpFに基づく土壌の自動かん水制御を行った事例です。「誘電率→体積含水率→pF」の変換により,ストレス制御に適した根圏水分環境を創出できます。
丹野ら(2018) Arduinoと2組のサーモモジュールを活用し,土壌中の地中熱フラックスの測定を行った事例です。精度向上のために増幅回路を仕込んでいますが,わずか数百円のセンサーとマイコンで,高額な従来のデータロガーおよび熱流板の組合せ利用にほとんど劣らない精度で,熱フラックスを測定できます。
藏座ら(2019) 塩ビ管内にテープ式水位センサ(CMT-RTape)を固定し,その出力値をArduinoで測定することにより,農地の地下水位の変動を観測した事例です。地下水位は農地の排水(水はけ)と根圏水分環境に大きく寄与するので,測定できると助かります。水中に落とし込む安価な圧力式センサでも,同様のことができます。
丸尾・登尾(2018) 測定のプロが愛用するCampbell Scientificの高額計測機器(CR1000による測定結果と,Arduinoによる気温・気圧・地温等の測定結果を比較し,Arduinoを用いて良好な結果を得たことを報告したた事例です。百分の一の価格でこの結果なら,極端に高い精度を要求されない限り,Arduinoで足りるのではないでしょうか?
森下ら(2016 ) XBeeとSDI-12プロトコル対応の土壌水分センサーネットワークを,干拓地におけるトマト栽培に適用した事例です。
國﨑ら(2015) ArduinoとXBeeを用いた1 点 3 深度×多地点の土壌水分センサーネットワークの適用事例です。Arduinoを利用したSDI-12センサーネットワークの最初の事例です(おそらく)。